9月1日、2日と、フィンランド領オーランド諸島で、「沖縄・オーランド交流セミナー」を開催しました。
このセミナーは、前ロンドン所長の務台さんの強い思い入れによって実現したもので、ロンドン事務所としては、僕の知る限り初めて英国外で開催したセミナーでした。
もともと、2002年度から2004年度にかけて、中央大学の9研究所が合同してオーランド島と沖縄島との比較研究を行っており、その成果は「リージョンの時代と島の自治 - バルト海オーランド島と東シナ海沖縄島の比較研究」(古城利明編、中央大学出版部)という書籍の形でまとめられていました。
務台前所長は、ロンドン事務所着任前からこれをご存じで非常にオーランド島に興味を持たれており、在任中には早速オーランドに直接出向いて関係者との意見交換をされてきたそうです。そして、その折に、ぜひオーランドで沖縄県と共同でのセミナーを開催し、沖縄と直接意見交換を行いたいというオーランドの希望を聞き、ロンドン事務所がその場を提供することを約束して、今回のセミナーに至ったものでした。
当初、ロンドン事務所管轄地域とはいえ、事務所からみると「外国」であるオーランドでセミナーを開催することに、不安がなかったわけではありませんでしたが、オーランド側では、オーランド平和研究所が事務局を務め、会場確保からオーランド側の講師確保、宿泊所・食事の手配等々、現地での実務をすべて積極的に行ってくれましたので、当初懸念したよりも円滑にセミナーを開催することができました。
とはいえ、やはり開催に至るまでには、いろいろ紆余曲折がありました。
オーランド平和研究所からの当初要望では、3日間にわたるセミナーで、経済・平和・自治制度の3つのテーマごとに、それぞれ沖縄側とオーランド側それぞれから各2名ずつ講師を招き、合計12セッションで深く議論したいということだったのですが、残念ながら、平和研究所が申請を出していたチャリティ団体からの補助金の確保ができなかったため、セミナー規模を縮小し、講師はテーマごとにオーランド、沖縄各1名として、講師確保の予算はすべてクレア側で賄うことに。その結果、開催期間は2日間として、当初オーランド側で計画していたセミナー終了後の視察ツアーも中止になりました。
講師の選定に当たっても、オーランド側講師は地元なので特に問題なかったのですが、沖縄側の講師については、県庁から部長クラス以上、琉球大学の教授+アルファということでいろいろ当たってみたのですが、なかなか日程の都合が折り合わず、講師が確定しなくてひやひやしました。結果としては、県庁のご努力によって、上原勝則観光商工部産業雇用統括官、島袋純琉球大学教授の日程を押さえていただき、また、オーランドから紹介のあった、中央大学の研究時にも参加されていたストックホルム大学の池上雅子教授を3人目の講師としてお迎えすることで、無事事なきを得ました。
ちなみに、上原統括官は経済のセッション、池上教授が平和のセッションで、島袋教授が地方自治のセッション担当で、それぞれ深い専門知識・経験を有する、しっかりした講師陣となりました。オーランド側は、経済がオーランド統計研究センターのリチャード・パーマー博士、平和はもちろんオーランド平和研究所のシア・スピリオポロ・アケルマルク所長(発音がこれで正しいのかどうかは、ちょっと自信ありませんが)、そして自治制度は元オーランド議会官房長官のラース・イングマー・ヨハンソン氏で、こちらも専門知識・経験の豊富なしっかりしたメンバーでした。
言葉の問題も、やや不安材料だったのですが、フィンランド領でありながらスウェーデン語を公用語としているオーランドの人たちは皆、同時に英語にも非常に堪能で、英語でのコミュニケーションには全く問題なく、セミナーもすべて英語で行われました。
2日間にわたるセッションの最後には、パネルディスカッションが行われました。パネラーは、講演も行っていただいた島袋、池上両教授、アケルマルク平和研究所長のほか、本年初めまでノルウェー北部のバレンツ研究所で客員研究員をされていた静岡県立大学の大西富士夫氏、およびオーランド島政府長官であるエリザベート・ナウクレールさんも加わって、沖縄・オーランドの未来に関して、活発な意見交換が行われました。
短い時間ながらも非常に濃い情報交換が行われた、有意義な会議だったと思います。聴衆も、オーランド島の参加者だけでなく、フィンランド大使館から挨拶にいらした安田邦彦一等書記官(セミナー開会の挨拶もしていただきました)ほか、フィンランド大使館から関係機関にこのセミナーを広くアナウンスしていただいたそうで、それを聞いてやってきたとおっしゃっていた、ヘルシンキ大学の先生や学生、インドネシア政府ヘルシンキ大使館の職員の方など、幅広い方々にご参加いただき、その意味でも意義深いものとなりました。
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