ブログの更新が大幅に間が空いてしまったので、他のところに書いた10月分の活動を、ここにも掲載。
10月には、たっぷりとイベントがあり、大忙しでした。
まず、2日(金)には、午前10時から、Local Government Association の本部 Local Government House で 「Local Government Leaders International Symposium 2009」というシンポジウムが開かれ、事務所のキルヒナー主任調査員とともに参加してきました。
このシンポジウムでは、事前にLGAからのリクエストがあり、クレアロンドン事務所の役割のほか、日本の自治体のベストプラクティスの発表を行うこととなっていました。
自治体のベストプラクティスの発表については、本来であれば適切な日本の地方公共団体を選定し、その担当者と打ち合わせをして資料を作成し、ロンドンに来てもらって発表を行ってもらうというのがベストだったのでしょうが、年度途中の急な要望ではそのようなわけにもいかず、こちらにいるメンバーで対応することとしました。
ちょうど、LGAからの要望テーマの一つに「危機管理」があり、現在在英日本大使館一等書記官をしている大塚さんが、直前のポストで総務省消防庁総務課課長補佐だったこと、彼が英語が堪能であることを思いついて、大塚さんにプレゼンをお願いすることとしました。
短い準備期間でしたが、大塚さんは午前11時20分から50分間のセッションの前半のプレゼンを卒なくこなし、会場からの質問についても的確にお答えいただいて、面目を施しました。
もうひとつのクレアの役割については、午後2時40分からのパネルディスカッションに僕自身が参加して発表したのですが、あらかじめ原稿を用意しての発表そのものはなんとかこなしたものの、その後のパネラーと会場との間のディスカッションにはなかなか入って行けず(なにしろ、僕以外の参加者全員が英語を母国語とする人たちでした)、終了直前に日本の状況についての意見をたどたどしく言うのが関の山といったありさま。英語力不足を改めて痛感させられる場となってしまいました。
しかし、シンポジウム全体としては、気候変動への取り組み、危機管理、児童貧困対策、経費削減のためのイノベーションを生み出すための海外事例の学習等といった魅力的なテーマで、英国のみならず、スウェーデン、カナダからの参加者も加わってのプレゼン、議論はなかなか興味深く、おもしろいものでした。特に、貧困者の社会的排除解決への取り組みを、ヨーロッパの諸都市と連携してアイデアを交換しながら行っているニューカッスル市のSimon Underwood氏のプレゼンは非常に感銘深いもので、政策連携のモデルケースを見る思いでした。
5日(月)には、大使館で開催された元朝日新聞論説主幹の若宮啓文氏による「Japan'sTumultuous Politics Today」という講演を聴講に行ってきました。民主党政権発足の背景について英語で説明されたものでしたが、日本人である我々には、比較的なじみ深い話で聞きやすかったものの、新しい情報といった点では、やや物足りないものでした。しかし、隣の席に座っていた馴染みのイギリス人の人と講演終了後にお話ししたところ、日本の政治状況についてそれほど馴染みのない彼にとっては、なかなか興味深くおもしろい話だったようです。
6日(火)は、今年11月に行われるJapan Study Tourのプレ・オリエンテーションを事務所で行いました。11名のツアー参加者のうち6名が参加し、僕の挨拶、銘々の自己紹介の後、事務所から日本の自治制度の概略、文化や習慣のほか、今回の視察予定地である北海道についての基本的な情報のプレゼンテーションを行いました。参加者全員、日本への関心が非常に強く、ツアーへの期待は高いように感じられました。東京、北海道でのイベントの成功を祈ります。
11日(日)には、地方公共団体金融機構の福永副理事長が、仕事でロンドンに来訪されたため、夕食をご一緒させていただきました。福永副理事長は、元東京都の副知事ということであったため、東京都派遣の木村所長補佐に随行の廣澤秘書役ともども市内視察の随行をしてもらったあと、同じく東京都派遣の引場参事とレストランで合流して歓談させていただきました。
12日(月)から15日(木)までは、欧州評議会出席のため、ストラスブールに出張しました。会議は13日から15日までの3日間でしたが、13日の会議が朝からあったため、前泊したものです。本部からは上田専務、パリ事務所からは鳴田所長とウゼさんが出席し、現地では基本的に4人で行動を共にしました。日本からは、初日の夕方に野坂米子市長、3日目の朝に西川福井県知事がプレゼンテーションをされましたが、それぞれ達者な英語で立派なプレゼンでした。
16日(金)には、現在千葉県からバーミンガム大学地方自治研究所に留学中の青木さんが事務所に挨拶に来られ、勤務時間終了後に事務所有志でパブでの意見交換会を行いました。青木さんは、前ロンドン事務所次長の風間さんの部下であり、当事務所の神林所長補佐とも彼女の千葉県勤務時代以来面識があるとのことで、非常に打ち解けた意見交換会でした。
19日(月)は、仕事の面では特期すべきことはありませんでしたが、午後、息子の小学校の面談があったため、妻と一緒に息子の担任の先生や校長先生とお話ししてきました。息子はこちらでは現在小6であるため、来年の中学校進学についてどうすべきか、悩ましいところです。
20日(火)から22日(木)にかけては、ブライトン市で行われた SOLACE(Society of Local Authority Chief Executives、英国地方団体事務総長協会)の年次カンファレンスにキルヒナー調査員と一緒に参加してきました。昨年のベルファストでの会議に続く2回目の出席で、だいぶ勝手がわかるようになり、今年は結構カンファレンスをしっかりと楽しむことができました。いろいろな情報を吸収してきましたが、その内容については、また別の機会にまとめて書きたいと思います。
23日(金)は、前日からロンドンに来て行われていた、成田監事、彌栄総務課長、高橋さん、赤池さんによる本部監査の講評をお聞きするとともに、成田監事との情報交換を行いました。
27日(火)には、白鴎大学法学部準教授で現在バーミンガム大学地方自治研究所に客員研究員として来られている児玉先生が事務所にご来訪。キルヒナーさん、宮本さんと意見交換。
28日(水)は、事務所主催の勉強会「スピーカーシリーズ」で、今月のテーマは松野下所長補佐がクレアレポートのテーマとして選んだ「Buisiness Improvement Districts」。このBIDsの代表例の一つであるロンドンにあるBetter BanksideでChief Executiveを務めておられるPeter Williams氏を読んで、BIDsの制度やBetter Banksideの活動の実際についてのご講演をいただきました。
この日の午後には、11月23日の日英セミナーとタイアップして大使館との共催で開催する予定の晩さん会の会場の視察。
30日(木)は、時事通信社開催の在英日系企業・政府機関等の幹部を対象にしたトップセミナーに参加。この日の講演者は、日本銀行欧州統括役の久田高正氏で、講演テーマは「国際金融情勢の現状と課題」。昨年のクレジットクランチ後、各国の政府・中央銀行が財政・金融政策を総動員して、短期間で信用不安を収束させ、景気回復の兆しが見えるところまでこぎつけたけれど、政策効果が切れたときにその状態が継続できるのかどうかは未知数。銀行のBS調整はまだ不十分だし、クレジット供与も戻り切ってはいないので、予断を許さない。このようなクレジットクランチを再発させないための金融規制の在り方も検討中、といった興味深い話を聞くことができました。